映像授業の導入についての検討(2020年4月時点)

映像授業の導入について検討しています。

Youtubeやzoom等を用いた映像授業を取り入れるか検討していました。
新型コロナウイルス感染症に伴い、臨時休校で授業が進まない事と、通塾が難しくなっているという面もあります。
しかし、当塾は基本的には集団での授業では無い事もあり、複数の生徒様に同じような解説をする機会も多くありました。
その事から、よくあるご質問については予め解答を用意しておくというのも必要かと思っておりました。
いくつか映像授業等を拝見(学校の授業を見せてもらえる機会はありませんでしたが)してわかったことなど踏まえての考察と感想です。

なお、本記事は私のメモ的なもので、何か周知的なものがあるわけでも、すばらしい検討結果があるわけでもありません。
また、基本的には数学を前提に考えていましたので、他科目ではまた違ってくる面もあると思います。

一方通行か双方向か

まず映像授業を行う場合、次の二通りの配信方法が考えられます。

  • 一方通行形式であらかじめ撮影したものをいつでも見れる状況にしておく
  • コメントや映像などを確認しながらリアルタイムに双方向な形式で解説する

なお、双方向の場合はYoutubeのようにライブ形式でコメントによるコミュニケーションが基本となるような方法と、zoom等の相手が見えるような方法とでまた違ってくるかと思います。
前者は不特定多数、後者は特定の方に絞られることになるでしょう。
それぞれに対し、現在の塾の授業や、環境等も踏まえた考察をしています。

一方通行

一方通行の場合、授業の完成度としては高いものになると思います。
予め作っておくという事ですから、撮影したものを編集してから公開できますので、不要な部分をカットする事もできますし、取り直しも可能です。
その他、以下のようなこともできるのかなと思っております。

  • 何度も試行を繰り返す実験のようなことを早送りすることで短時間で体験できる
  • 動点の問題や給水と排水の問題などを映像(アニメーション)で見る事により、理解しやすくなる
  • (映像で見るという点も含まれますが)テクノロジーを用いた新しい授業ができる

板書時間が無くなることで授業の進みが変わると思いますし、それ以上に他人を待つ時間が無いという点は、授業の進みを大きく変える利点と言えると思います。
※板書時間もそのまま流れるものがほとんどでしたが、編集でカットしたり早送りしたほうが良いと思いました
理解できている生徒様にとって、授業中に設けられる長い演習時間や、わかっているところを繰り返し解説されるのはかなり無駄になっています。
一方でこれは全く否定されるべきことではなく、学校の公教育という観点では、これを無くすことはできないでしょう。

そんなわけで利点はたくさんあると言えます。

一方で、課題もやはりあります。
まずは、わからないところが出てきても質問できない事は言うまでもなく課題点であり、それを補う手段が必要でしょう。
聞いている側の理解を考慮した授業ではないので、わからない状態でも授業が進んでいってしまいます。
逆に理解した内容などをくどくどと話されてしまう等、効率が良いとは必ずしも言えません。
※後者については映像でなくても起こりうることで、動画なので飛ばすことができるのは逆にメリットかもしれません
配信内容と視聴者の求める内容がマッチしている必要があるでしょう。

さらに数学の場合、「準備されすぎている授業」は思考力を教えることができているのか疑問な部分もあり、面白みに欠ける面もあります。
「うーん、うーん」となりながら、色々な試行を繰り返している様子やその考えから、多くの事が学べるものと思っています。
学校はしっかり準備された授業ですし、塾によっては教材の解説に丸投げという事もありますので、そんな授業見たことない人もいるかもしれません。
講師が解説を見ない実力派なら、そんな様子を見れるかもしないですね。
効率よすぎる事も問題なのかなと思う部分もあるわけです。

求められる品質

映像授業はいつでも離脱できてしまうので見ていて飽きない工夫が必要です。
そのためにはリズムやテンポが求められるよう感じます。
※過度に注意を引く演出という訳ではなく、この後どうなるんだろうというワクワク感等
動画であることを意識したうえで授業の構成をし、適切な編集をしなければ映像授業の品質としては十分なものとはならないでしょう。
「視聴できる動画」を作ることができれば一定の価値あるものになると思います。

教科書読めばいい問題

「教科書を読んで理解することができれば授業自体がそもそもいらない」ということを講師が認めていいものかという話ではあります。
しかし、一方通行の授業はある意味教科書であり、それをわかりやすく説明できているか、飽きずに見てもらえる説明になっているのか、教科書よりも優れた教材になっているかは講師の腕になってきます。
※「わかりやすい」が必ずしも優れているとは限らず、聞いたのちにできる状態になっていること、さらには意欲的に次の勉強に進みたいと思ってもらえている事が重要なわけですが

教科書を読めばそれでわかって勝手に進める方にとっては、教科書の内容を(一人で学ぶよりも時間を掛けて)学ぶだけの授業はいらないんですよね。

  • 教科書を読んでわかるという人には、さらに興味をそそるような話や発展的(時間効率の良さ、難易度が高い等)な授業
  • 教科書を読んでもわからないという人には、教科書以上にわかってもらえる授業

どちらも満たすような授業を動画一本にすることはできないのかなと思っています。

一度触れていますが、視聴者の理解度等の条件によって、理想的な授業は全く異なるものになります。
そのあたりは配信者が考慮して配信し、視聴者側で適切に選べるようになっている必要があるのかなと思っています。

双方向(集団)

双方向の場合、授業の完成度は一方通行と比べて劣ってしまいがちなのかなと思いました。
※教科書的な映像授業として考えた場合、ライブ形式のアーカイブが作り込まれた動画に勝るわけがない
そもそも全く別物であり、比較していいのかというご意見もあるとは思いますが・・・。

一見すると、内容自体はオフライン授業に近いものがあり、それを遠隔で配信できるというメリットだけがあるようにも見えます。
しかし、コミュニケーションが取れるとはいえ、タイムラグやコメントのしにくさ、結局顔が見えない等の場合もあり、双方向の最大のメリットがデメリットになりかねない点があることは課題でしょう。
コメントの確認時間等でかなり時間を浪費し、掛けた時間に見合わない知識の習得しかできていないケースが実際に目立っていました。
時間通りに参加できずに授業の途中から参加する生徒もいました。
また、集団授業的な要素があるので、わからなくても質問しにくく、実際に理解しているのかを正しく確認できているのかはやや疑問でした。

現状ではまだまだ双方向の映像授業をうまく活用できていないのかなと思います。
このあたりを改善していけるよう、配信者と視聴者が相互協力し改善していく必要があると思いました。
ノウハウをしっかり持っているところはそのあたりの打開策を打っており、コミュニケーションが意外とうまくできているようです。

理解度を確認しながら進めることができるのは、講師としてはやはり安心できるようです。
理解度やコメントを反映した、アドリブの聞いた、双方向ならではの授業ができる可能性はあるのかと思います。

双方向(個別、少人数)

双方向のコミュニケーションが最も取りやすいのは個別形式でしょう。

この場合もやはり多少コミュニケーションが難しい面もあります。
互いに話しだし、「あっ」となって、互いに譲り合い、話し出したら「あっ」みたいなことはよくあります。
また、移っている画面しか見れない、音声や映像の途切れ等は、技術的な改善が必要と思います。

そういった「テレビ電話的な問題」を考えても、「遠隔」というメリットが勝っていると言えるのかなと思います。

うまく運営できるかという問題

運営する事を考えると難しい要素はあります。
よくある個別指導形式であれば、固定の時間で通話すればよいので、運営上の難しさはあまりありません。

一方で、当塾のフリーの授業形式との相性はあまりいいとは言えません。
ご質問頂いた際には、わかるまで何度でも色々な方法を用いて解説させて頂きております。
質問が集中した場合、ある程度の待ち時間が発生します。
教室内にいない遠隔の人はそれを知ることはできません。
※何かしら遠隔者に通知できるフラグを出すという方法で伝えることはできますが、質問の度に切り替えるのは非現実的でしょう。

実際に対面している人と話をしているときに電話が鳴ると、コール音が鳴り響くので電話を取らないという事もしにくいです。
すると教室内で説明中にコールされた場合、説明が中断する事になってしまいます。
説明を中断しておいて別の人の質問に答えるという形は不平等ですよね。
※待機部屋の機能など用いれば改善できそうですが

また、ヘッドホンを付けても、こちらの音声は教室内に響いてしまいます。
これもせっかく教室内で集中して勉強できている人にとっては気になってしまう雑音になってしまうでしょう。

その他留意事項

必ず気を付けなければならない点

ここまで手法中心にその特徴を述べてきました。

しかし、手法以上に重要なことがあり、途中でも少し触れていますが「誰のために映像授業を行うのか」です。
生徒様一人一人にとって利益がちゃんとあるのか、そこを考えた内容で配信しなければ意味がありません。
そのうえで最も重要な観点は、配信内容がある程度事前にわかる事だと思います。
どんなに素晴らしい授業だったとしても、見た結果が「それ知ってるし・・・」では逆効果になりかねません。
逆に前提となる知識がないために「さっぱりわからなかった」でもやはり問題です。

人生において貴重な「時間」を使ってみてもらうわけですから、実りあるものでなければなりません。
優れた内容と感じる映像配信には、配信で何を伝えたいかがコメント欄や動画の冒頭でわかるようになっている工夫がありました。
これでおよそ、見る価値があるのか無いのか(優れた授業かどうかよりも重要)がわかります。
逆にその内容が疎かになっている場合、最後まで見て実りが無いものも多々ありました。

答えのある問題を扱っているという前提

少し気になったので補足しておきますが、学校の授業で扱うような、クイズの答えが決まっているような内容だからこその話で書いてきました。
答えのない問題をディスカッションするような、学校の試験で出るような内容以外のものであれば、また違った見解になってきます。
また、勉強方法や、特定分野を掘り下げていくような授業も、また違った見解になるでしょう。

導入について

視聴者の事を考えると単純なリアル集団授業の代替、学校授業の代替としての導入はあまり得策とは言えないのかなと思います。
※ただしリアル集団授業が行えないという状況下では、劣化としてもやらざるを得ないのかもしれませんね
※リアル集団授業以外に映像授業でも公教育と見なすという選択肢を与え、好きな方を選択できるというのであれば、ありなのかもしれません。
導入するうえでは、映像授業であることのメリットを得ながら、課題として挙げたような点が少なくなるように工夫する事は必要でしょう。
特定の条件で有効なケースもあると思いますので、そういったものに対しては映像授業を取り入れていくという事は有効だと思いました。

導入には慎重になりつつも、やって見なければわからない事もあるので、一部チャレンジしていきたいと思っております。

最高に優れた一本の動画が作れるか

同じ映像授業を見てもらい、すべての人が理解しそれを扱った問題に正答できるようなものが作れるでしょうか?
私は目指すことは良いと思いますが、恐らくできないと思っていて、他の手段で実現するべきだと思っています。
どうしても1つの説明ではわかりにくい部分があって、それを補えるような支援は必要なんじゃないかと思います。
私が導入するとすれば、このエリアなのかなと思っています。

終わりに

塾内の記事は塾の様子や仕組みなどに限定し、こういった考察などは記事として扱うつもりはありませんでした。
しかし、「導入するかどうか」は仕組み的なところもあり、状況も状況なので方針はお伝えしても良いのかなと思いましたので、記事にしました。
何かを決定したわけではなく、メモ的な内容になってはおりますが・・・。

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