次は理科だ!

中学2年生男子の生徒様とのやりとりです。

次は理科だ!

数学で随分と成績を伸ばしてくれました。
次は理科を頑張るぞと、連日理科に取り組んでいます。

今日は消化器官についてです。
「唾液によるデンプンの分解」の実験の問題に取り組んでいました。
理科の実験を使った問題として、よく出題されますね。

理科は暗記科目色が強い科目になります。
覚えれば解ける問題が大半になります。
ただ、全部覚えればいいってもんじゃないんですよね。
この実験もそうです。

覚える事と、理解していることから導く問題とは分けて考えましょう。

「唾液によるデンプンの分解」の実験

流れは次のような流れです。

  • ①試験管A,Bにデンプンを溶かした液体を入れる
  • ②試験管Aには唾液を、Bには水を入れ、40℃程度に温め、しばらく時間を空ける
  • ③試験管Aの液体の半分を試験管Cに移す
  • ④試験管Bの液体の半分を試験管Dに移す
  • ⑤試験管A,Bにヨウ素液を入れる
  • ⑥試験管C,Dにベネジクト液を入た後、沸騰石を入れて加熱する
  • ⑦試験管A,B,C,Dを観察する

なお、次のような結果が得られます。

  • 試験管Aは変化しない(ヨウ素液の薄い黄色)
  • 試験管Bは青紫色になる
  • 試験管Cは赤褐色になる
  • 試験管Dは変化しない(ベネジクト液の薄い青色)

ここでポイントとなるのは次の点です。

  • ①手順②で試験管Bに水を入れるのはなぜか
  • ②手順②で40℃に温めるのはなぜか
  • ③手順⑥で沸騰石を入れるのはなぜか
  • ④手順⑥で加熱するのはなぜか
  • ⑤ヨウ素液は何に反応し、どうなるか
  • ⑥ベネジクト液は何に反応し、どうなるか
  • ⑦試験管A,Bを比較すると何がわかるか
  • ⑧試験管C,Dを比較すると何がわかるか
  • ⑨試験管A,Cから何がわかるか

理科的な思考で重要になるのは⑦⑧⑨の解釈です。
①~⑥は知識として覚える事ですが、⑦~⑨は覚える事ではないからです。

試験管A,Bからわかるのは次の事です。

  • 試験管Aにはデンプンが無く、試験管Bにはデンプンがある。

試験管A,Bの比較をすると、水と唾液以外の条件の差はありません。
つまりこの唾液があることによって、元々あったデンプンが無くなったということがわかります。

試験管C,Dからわかるのは次の事です。

  • 試験管Cには麦芽糖があり、試験管Bには麦芽糖が無い。

ちなみにベネジクト液が反応するのは麦芽糖だけではないので、麦芽糖と言い切るのも少し言い過ぎなんですけどね。
試験管C,Dの比較をしても、やはり水と唾液以外の条件の差はありません。
つまりこの唾液があることによって、元々なかった麦芽糖が現れたということがわかります。

これらを合わせてわかるのは次の事です。

  • 唾液はデンプンを無く(分解)し、麦芽糖を生む

一応補足ですが、デンプンが無ければ麦芽糖が生まれないという事は、この実験だけではわかりませんよね。
唾液が水から麦芽糖を作るとか、唾液自身が分解されて麦芽糖になるとか、そういう可能性はこの実験からはわかりません。
でも、H2Oの水では麦芽糖を作れません。
唾液の成分的にも麦芽糖にはなり得ないのでしょう。
こういうことが何の説明もなく、前提として存在してしまっています。
少し脱線しました。

これらを知識としてすべて覚えるのでしょうか?
ボクはそれはちょっと違うかなと思います。

「唾液の成分アミラーゼがデンプンを麦芽糖に変える」
という事は知識として覚えないといけないでしょう。
しかし、「A,Bの試験管から言える事は何か」等の問いは覚えることではないのかなと思います。

ヨウ素液の色が変わらないという事は、デンプンが無いという事です。
これも知識として必要なことです。
ただ、A,Bの違いは唾液の有無です。
この唾液の有無が、ヨウ素液の反応の有無に関係しています。
「なんでデンプンが無いの?」については、「唾液がデンプンを分解した」という結論を導けます。
これは覚える事では無いですよね。
問題解いていれば覚えちゃいますけども・・・。

これを考えてもらう事

そのあたりの「知識」と「理解から導く事」の区別がついていない場合が多いですね。
なんでもかんでも暗記しようとしている場合があります。
しかも、理解なく覚えるんで、めちゃくちゃ覚えにくいです。

ある日突然、「Jss12あkqqπqq」を覚えてと言われても、ボクは覚えられる自信はありません。
意味の無い文字列は覚えにくいです。
理科の用語がこういう状態になっていませんか?
「塩酸・・・聞いたことあるけど、どんな物質?」みたいな。

まず、必要な知識は覚えましょう。
そして理解し、さらに知識を増やしましょう。
どっちが先と言うことも無く、スパイラル的な学習が必要だと思います。
知識、理解、知識、理解、いったん遡ってもう一度知識、理解・・・
そして、得た知識をもとに、考える問題に取り組みましょう。
このトレーニングをしていかないと、理科の実力は上がらないでしょう。

生徒様、今頑張っています。
ボクとこの理科的な思考のトレーニングの日々です。
2年生の生物範囲は、暗記色の強い分野かもしれません。
しかし、ボクとしては理科的な思考を鍛える上では良い分野だと思っています。

理科の先生、大変ですよね

ボクの様に1対1なら生徒様が何を考えて答えを導いているのかというところまで見れます。
しかし、学校の先生はクラス40人程度の生徒様を相手に授業します。
一人一人と会話する時間なんてありません。
どこまで理解して試験の答えを書いてきているのか、わからないときもあるでしょう。
※数学の確率なんかは数式から読み解く事もできる場合がありますが
わからない子がいようが、それすらわからない状況だろうが、それでも授業を進めないと行けないんですよね・・・。
大変だと思います。

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