中学2年生男子の生徒様とのやりとりです。
苦手意識のある理科で得点を上げようとしてくれています。
得点の伸びしろがあって、総合での評価に一番効果があるということを感じ取ってでしょう。
今日は中学2年生定期試験対策にもなる話をしたいと思います。
炭酸水素ナトリウムを加熱する実験を眺める生徒様・・・。
これで運が悪くなければ12点位はゲットできます!
炭酸水素ナトリウムを加熱する実験
中学2年生の化学範囲の問題としてはよく出るんですよね。
その理由も考えながら対策することで、かなり得点しやすい問題です。
今回はかなり理科理科していますので、中学2年生の方、もしくは中学3年生の受験勉強をしている方はしっかり読み込んで頂ければと思います。
どのような実験か?
炭酸水素ナトリウムを試験官にいれ、ガスバーナーで熱するという実験です。
この実験には注意点が大きく2点あります。
これは後の説明とあわせて説明します。
この実験で問題になるのは大きく次の4点です。
- ①化学反応式
- ②発生する物質:二酸化炭素
- ③発生する物質:水
- ④発生する物質:炭酸ナトリウム
それぞれ見ていきましょう。
なお、最初の「化学反応式」については、あまり独自観点はありません。
教科書通りな当たり前のことを説明しているだけになります。
化学反応式
まずこの実験で「何が」、「何になるのか」は必ず覚えましょう。
できれば化学反応式まで覚えてしまった方が良いです。
実験前 (何が) | 炭酸水素ナトリウム |
---|---|
実験後 (何になる) | 炭酸ナトリウム 二酸化炭素 水 |
これはこの実験の問題の重要な観点②~③そのものです。
重要な観点を覚えてしまえば、自ずと覚えてしまいます。
化学反応式は次の様に作ります。
まず最初に→を書きます。
→
これはボクが中学生の時に理科の試験で“=”と書いて△にされたので必ず”→”にしてください。
“=”を使った化学反応式(厳密には違う)は高校生になってから学びます。
実験の前後で物質の変化以外に変わるものがあり、そこまで記述して初めて”=”という状態になります。
今は式にない何かが失われていて、中途半端な関係式になっていると思ってください。
だから”=”じゃないといけない、と理解しておきましょう。
しかし、→だけだと、なんかシュールです・・・。
次に、実験前に登場する物質(反応で化学式の変化するもの)を→の左側に書きます。
また、実験後に登場する物質(反応で化学式の変化したもの)を→の右側に書きます。
化学式は当然書けるようになっておく必要があります。
炭酸水素ナトリウム | NaHCO3 |
炭酸ナトリウム | Na2CO3 |
二酸化炭素 | CO2 |
水 | H2O |
なお、化学式は「日本語表記」の後ろから、塊で化学式を作っていくと覚えやすいです。
「炭酸水素ナトリウム」
塊で分解して⇒「炭酸」+「水素」+「ナトリウム」
元素記号に変換⇒「CO3」+「H」+「Na」
後ろから⇒「Na」+「H」+「CO3」
完成⇒「NaHCO3」
という訳で→の左右に書き込みます。
NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
ですね。
次に出てくる原子の種類と個数を式の両辺に対し、それぞれ書いておきます。
ここで化学式をしっかり「読める」かが試されます。
NaHCO3
は、Naが1つ、Hが1つ、Cが1つ、Oが3つ組み合わせられてできた物質です。
もしこれが
2NaHCO3
であれば、その組み合わせが2セットある、と理解しましょう。
後で必要になります。
NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
元素記号 | →の左側 | →の右側 |
Na | 1 | 2 |
H | 1 | 2 |
C | 1 | 2 |
O | 3 | 6 |
ここからはパズルです。
→の左側と右側の元素記号の数が合うように、不足している元素記号を持つ化学式の個数を増やします。
今回は左側のNaもHもCもOも不足していて、左側の物質はNaHCO3のみです。
このNaHCO332NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
元素記号 | →の左側 | →の右側 |
Na | 2 | 2 |
H | 2 | 2 |
C | 2 | 2 |
O | 6 | 6 |
左側と右側がぴったり合えば完成です!
この数合わせは少し難しい場合もあります。
コツは先の通り数を増やしていくのですが、不足している元素記号のうち、複数の物質に含まれていないような元素を合わせていくと良いでしょう。
また、場合によっては次のような状態になることもあります。
4NaHCO3→2Na2CO3+2CO2+2H2O
元素記号 | →の左側 | →の右側 |
Na | 4 | 4 |
H | 4 | 4 |
C | 4 | 4 |
O | 12 | 12 |
このとき、物質の個数が炭酸水素ナトリウムが4個、炭酸ナトリウムと二酸化炭素と水は2個です。
最小公倍数が2になっています。
2で割ることができますので2で割りましょう。
すると最初に完成した式になります。
最小公倍数が1になっていないと減点になるので注意です。
まとめ
この実験の化学反応式を書きなさい。
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O
残りはまた次回!