そのまま進めれば行ける!

因数分解の基本は降べきの順!

高校1年生男子の生徒様とのやりとりです。
今回はちょっと数学的な説明が多めです。
※ライトな感じに読めるものをと思っています。

できるはず

因数分解の問題です。

x(y^3-z^3)+y(z^3-x^3)+z(x^3-y^3)

これを頑張って解いていました。

那須:因数分解でどうしようかなーって手が止まる前に・・・
那須:降べきの順に並び替えてみよう!

そんな話を覚えていてくれて、計算を進めてくれました。

=xy^3-xz^3+yz^3-x^3y+zx^3-y^3z
=(z-y)x^3+(y^3-z^3)x+yz^3-y^3z
=(z-y)x^3+(y-z)(y^2+yz+z^2)x+yz(z-y)(z+y)

ここで計算が止まってしまっていました。
降べきの順に直す計算はOKです。

実力からすれば、諦めなければ絶対できると思っていました。
諦めないための応援をしていきます。

那須:因数分解には大きく2種類あって・・・
那須:まずは「共通因数をくくる」だったね?

因数分解は符号の反転(※)等を除けば基本的に1通りです。
※(y-x)(x-y)=-(-y+x)(x-y)=-(x-y)^2
「共通因数をくくる」ことができるのならば、やってしまっていいわけです。

=(z-y){x^3-(y^2+yz+z^2)x+yz(z+y)}

ですね。

これであってますか?
因数分解は1つだから!
そのまま進めれば行ける!

という訳で続きを計算していきます。

=(z-y)(x^3-xy^2-xyz-z^2x+yz^2+y^2z)

ここでxとyとzが「三すくみ」のような関係になっている話もします。
じゃんけんのような関係ですね。
x(y^3-z^3)のx⇒y、y⇒z、z⇒xにしたものが、y(z^3-x^3)として二番目の項になっています。
このような関係にある多項式は、因数分解した結果も「三すくみ」のような関係になります。

実はこのことを理解しているとこの段階で答えが見えます。
(z-y)が出てきたということは、(x-z)も(y-x)も出てくるはずなんです。
(z-y)(x-z)(y-x)と因数分解できるだろうと推測できます。
そして多項式はすべての項が4次式です。
(z-y)(x-z)(y-x)では3次ですから1次足りません。
もう1つだけxとyとzが3すくみになるような因数が必要です。
(x+y+z)です。
という訳でボクはこの場で(z-y)(x-z)(y-x)(x+y+z)ぽい形を想像しました。

後は符号を見て微調整すると答えになるだろうと。
例えばzx^3は問題の式「x(y^3-z^3)+y(z^3-x^3)+z(x^3-y^3)」では符号は+です。
ボクの推測した式「(z-y)(x-z)(y-x)(x+y+z)」では符号は-です。
「-(z-y)(x-z)(y-x)(x+y+z)」となり、三すくみの順番をきれいにすると次の式になります。
(y-z)(z-x)(x-y)(x+y+z)
つまり、「(x-y)(y-z)(z-z)(x+y+z)」です。

これは参考までに示しているのですが、計算の中でも発想として使えます。
「(z-y)が出てきたのだから、きっと(x-z)も出てくるはず」
(x-z)が出てくるような変形を考えれば良いんですね。
他にもxの降べきの順で並べて(z-y)が出てきました。
これを三すくみで考えるとyの降べきの順で並べると(z-x)が出てくるんじゃないかって思えたりします。

(z-y)(x^3-xy^2-xyz-z^2x+yz^2+y^2z)
=(z-y){(z-x)y^2+z(z-x)y+(x^2-z^2)x}
=(z-y){(z-x)y^2+z(z-x)y+(x-z)(x+z)x}
=(z-y){(z-x)(y^2+zy-(x+z)x}
=(z-y)(z-x)(y^2+zy-x^2-zx)
=(z-y)(z-x){(y-x)z+(y^2-x^2)}
=(z-y)(z-x){(y-x)z+(y-x)(y+x)}
=(z-y)(z-x){(y-x)(z+y+x)}
=(z-y)(z-x)(y-x)(z+y+x)
=(y-z)(z-x)(x-y)(x+y+z)
=(x-y)(y-z)(z-x)(x+y+z)

ということで見事解けました。

ボクの予想がホワイトボード上に残っていたので、
那須:ね?あってたでしょ?(ドヤァ)
とは言え「たぶんこんな感じかな?」位だったんですけどね。

単純な因数分解の問題と比べればかなり難しいと思います。
基本に忠実に計算することでこんな問題も解けるということを知ってもらえたと思います。

元々「x^4+4」の因数分解を見て「(x^2+2)^2」を作ると発想できました。
それだけの実力があれば、諦めなければ解けないわけがないのです!

「できるはず」と信じています。
諦めさせません。

補足

高校2年生の数Ⅱで学ぶ「因数定理」を使うと更に簡単になります。
x=yをもとの式に代入すると、
y(y^3-z^3)+y(z^3-y^3)+z(y^3-y^3)=0
これは(x-y)を因数に持つということを意味します。
すると三すくみですから同じように(y-z)(z-x)まで見えてきます。
慣れると問題を見てすぐに(x-y)(y-z)(z-x)(x+y+z)が浮かんできます。

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