「教えなくていい」と「教えない」は違う

教えなくても良いからと言って教えないと、理解度も変わってしまいます。

中学3年生の一学期、理科では大体イオンあたりを学んでいます。
このイオンですが、学校の説明だけでは理解しにくかった部分もあるようで、各学校の生徒様から立て続けに質問頂いております。
念のための補足ですが、わからない事があるのは当然ですし、恥ずかしい事ではありません。
これを聞かずに試験で間違えたとき、それは恥ずかしい事になってしまします。
わからなかったことは、しっかり塾で解消するよう指導していますが、それを守ってちゃんと聞いてくれるのでこちらも助かっています。

まず、そもそも原子がどのような構成でできているかの説明を、あまり理解できていないようです。
原子核、陽子、中性子、電子、それらの言葉や電気的に中性なのか等を知っていても、「イメージ」としての理解が浅いようです。
そしてH+やclのイオンになると、原子との違いが分からないと・・・。
それを聞いて私なりの解説をすると「なんだそういう事だったのか」と、そこで初めて理解したようです。
水溶液内のイオンが陰極と陽極のどちらで分子に変わるかなどの問題を、当たり前に解けるようになりました。

恐らく学校でも教科書の内容をしっかり説明はしてくれているのかと思います。
※場合によっては自習がメインと言う教え方?の効率の中学校もあるようですが・・・。
だからこそ、私の短時間の解説だけで生徒様が問題を解けるようになるんだと思います。

ただ、どうやらK殻やL殻等の電子殻については「覚えなくていい」と教わっているようです。
これは推測ですが、それぞれの電子殻に何個まで電子が入れるかの個数(2×n2で別に難しくも無いのですが)を覚えなくても良いという意味なのでしょう。
しかし生徒様は先生が「覚えなくても良い」と言っってしまったので、電子殻そのものは「見たけどよく覚えていない」という状態になってしまっています。
伝え方は難しいですね。
「テストには出さないけど、覚えなさい」位でちょうどいいと思います。

私は電子殻は原子の構成として理解しておくべき内容だと考えています。
それは、その電子殻に入れる電子の個数がイオンの「なりやすさ」を説明するうえで必要なものだからです。

教えなくてもよいものだから教えなくていい、ではないはずです。
教える事だけ教えるのであれば、それこそ教科書を読んで自習で十分になってしまい、先生のいる意味がありません。
教えなくてよいものは、教えるのに必要なものであれば教えるが、試験ではそれを理解しているかまでは問わない。
これが私の理解です。

電子殻の最大個数は2,8,8(本当は18ですが8で安定)で、「この個数が電子にとって気持ちいい」ことを説明します。
原子番号11のナトリウムは11=2+8+1ですから、外側のM殻に1個の電子が寂しそうにしていて、原子番号17の塩素は17=2+8+7ですから、外側のM殻に7個の電子がもう1個の電子を欲しそうにしています。
するとナトリウムの寂しい電子1個は塩素の7個の電子の輪に入ります。
ナトリウム側は2+8の気持ちいい状態、塩素側は2+8+8の気持ちいい状態になります。
マイナスの電子1個がいなくなったナトリウムは、電子的にプラスとなり、1価の陽イオンNa+、逆に電子が1個増えた塩素は電子的にマイナスとなり、1価の陰イオンclになります。

電子的にプラスの陽イオンは電子を失っている状態です。
電子をもらえれば分子や金属として「復活」できます。
電流はプラスからマイナスへ流れますが、電子はマイナスからプラスへ流れます。
マイナス側から電子が流れてくるので、陰極から電子をもらう事ができ、陽イオンは陰極側で分子や金属として「復活」します。
陰イオンはその逆で電子を余分に持っているわけですから、渡せれば分子や金属として「復活」できます。
ですから陽極側に電子を渡し、陽極側で分子や金属として「復活」します。

後はそれぞれのイオンを電子を欲しい原子なのか、放出したい原子なのかを、電子殻をもとに考え、イオンを覚えていきます。
電子殻が2+8+8という事を抜きにこの説明をされても、私だったら納得できないかなと思います。
「なんでわざわざ電子失って陽イオンになるの?」そこで詰まってしまう子の気持ちがよく理解できます。

ナトリウムイオンや塩化物イオンの例で書きましたが、陽イオンなのか陰イオンなのか、原子番号というよりも周期表さえ覚えていれば、すぐに判別する事ができ、覚えやすくなります。
周期表についても「外側に電子が1つしかなくて電子を1つ失ってイオンになりやすい性質が似ているのが周期表の1番左」という説明します。
この辺(左側)は金属類だから、金属は電子が外側に数個余ってるから陽イオンになりやすい、という話もすっと理解できます。
「だから周期表は重要性なんだ」という事もわかり、周期表を(必要なところを)覚えようという意識にもつながります。
というか、この解説によって「周期表覚えたい!」と生徒様からお願いされたので、「スイヘーリーベー・・・」の覚え方を教えました。
自ら覚えようとしてくれる姿勢には、講師として嬉しい限りです。

ちなみにさすがに沢山演習問題を解けば、自然と陽イオンなのか陰イオンなのかぱっと出てくるようになりますので、試験前にはその状態になるまで練習してほしいですね。

ここまで大体20分くらいの解説ですが、その後はイオンについての演習問題をスラスラ解けるようになっていました。
もちろん覚えなくてはいけないイオンを書く問題は出来ませんでした。
代わりに酸やアルカリ、中和反応や塩まで一気に解説できてしまいました。

余談ですが、物質名の暗記ができていないのが心配です。
塩酸や食塩の化学式がぱっと出ないのは、対策してあげないといけないですね。

教えなくていいのと、教えないのは違いますので、教える必要があれば教えてあげて欲しいですね。
1クラス40人等を集団で指導すると、一人ひとりの反応を拾う事は難しいかもしれません。
個々の反応を見ることができ、その生徒様に合わせて必要なポイントをすぐに指導できるのは、やはり個別指導の強みですね。
もちろん、その時の教え方が重要であり、その生徒様の理解や、できるようになる事につながるとは限りませんが・・・。

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